樋渡利秋さん(法務事務次官)

第2回OBセミナー
45回(1964/昭39)卒業

2006(平18)・4・27  午後6時30分  新宿・マインズタワー

これからの司法制度  
  
── 裁判員制度を中心に

「治安のよい国」として自他共に認めていた日本。
ところがオウム事件以後、身の回りの安全に不安を感じる人が急増しています。
果たして本当に治安の悪い国になってしまったのでしょうか。樋渡さんは具体的な数字や事例を上げながら、“漠然とした不安”の背景に切り込んでいきました。

厳罰主義で犯罪は減らせるのか、という問題。いまのままでは毎年1カ所、府中刑務所クラスの拘置所を新設していかなければならないという問題。どうすれば裁判を迅速化できるのかという問題、等々、司法の現場が抱える多くの課題をあげながら、長年取り組んでいる「司法改革」へと話を展開。
人はなぜ法を犯すのか。人間とは何か、という根元的な問いかけが伝わってきました。
深刻なテーマにもかかわらず、時にユーモアも交え、エピソードも織り込んでの話に笑いも。気が付くと、「犯罪のない国にするために国民が裁判に関わっていく」ことの意義が説得力を帯びて聞く者の胸に伝わってくるのでした。

質問の多くは「裁判員制度」についてでした。
裁判員に指名されたら…、「断りたい」という人もいれば、積極的に「出る」という人も。
裁判員制度については耳にする機会が増えたものの、具体的な意味、内容、制度までは知る機会がなかったというのが実情のようです。
いまは地方自治体の図書館に法務省作成のビデオやDVDがあり、図書館によっては貸し出しも可能とのこと。

質疑応答も含めて2時間に及んだセミナーのあとは、樋渡さんを囲むミニ交流会。
東大法学部の学生4人も交えて、30回代から80回代までのOBが、仲のよい親戚、親子、兄弟のように語り合い、飲みました。
東京甲陽ネットを基盤にした甲陽の人的ネットワークが、また広がったことは確かです。


扉頁に

OBセミナー目次に

ひわたりとしあき


「日本は治安が悪くなったと言われているが、女性が夜遅く一人で帰路につくことができる国。私も夜にウォーキングをすることがあるが、不安を感じたことはありません」
「しかし現実には刑務所は満杯状態
厳罰主義をとったアメリカのある州では、刑務所が財政を圧迫させ、しかも犯罪は減らなかった」
「なぜ犯罪が起こるのか。刑事裁判に一般人が関わることによって、量刑の問題だけではなく、社会全体で犯罪の動機を考える仕組みを作ることになる。それが犯罪発生の抑止にもつながると思われる」

“旬”のテーマ、しかも現役の法務事務次官の話だけに、法曹界のOBや法学を専攻する学生、会社経営者など多くのOBが集まり、熱心な質問も出ました。

ミニ交流会では樋渡次官や中学時代の恩師・中川経治先生を囲んで思い出話やセミナーのテーマで談論風発。
若いOBも輪に加わって、まさに世代を越えた交流風景。

自分の子供より若い現役の学生を横に、大先輩は何思う? 
これからの日本を背負う後輩達。
より多く学び、経験を積んで社会にはばたくとき、「先輩のちょっとした助言」が勇気になることもあります。積極的に飛び込んでいって、何かをつかんで帰ってください。